確定申告にも時効はある?無申告でも逃げ切れるのか
「時効」とは、一定の事実状態が一定期間続いた場合、その状態が真実の権利関係に合致するか否かを問わず、権利の取得や消滅を認める制度です。
本来返すべき借金を、一定期間返さないという事実状態が続けば、支払わなくても良いということになります。
この時効は所得税や相続税などの税金にも存在します。
ただし、税金に関する時効は成立しにくいと言えます。
何故なら、税金のプロである税務署があの手この手で税金を徴収しに来るからです。
所得税や相続税の時効と除斥期間
所得税や相続税の時効とは、国税の徴収権に関するものになります。
徴収権とは一度確定した税金を税金の履行を求め、収納する権利です。
徴収権は時効によって消滅するので、脱税等をしていても、一定期間経過すれば罪に問われなくなります。
一方で、税金には時効のほかに、「除斥期間」が設けられています。除斥期間とは、国税債権の確定期間です。
つまり、税務署側が税金の金額を決めて納税義務を確定させることが可能な期間なので、期間が過ぎてしまえば、課税はできなくなるのです。
時効と除斥期間の大きな違いは中断があるかないかです。
時効の中断とは、特定の事由によって時効の進行がストップし、新たに時効期間の進行が始まることを言います。
特定の事由とは、税金の場合、税務署からの督促や差し押さえが該当します。
これらがあった場合、時効期間はリセットされ、またゼロからのカウントとなります。
除斥期間には中断がありません。
提出された申告書に漏れがあったり、無申告の方については、期間内に税務調査等を行って税金を確定させるのです。
税務署は税金を払わない人の財産を強制的に差し押さえて換価し、その代金を滞納している税金に充てます。
また、滞納者がどうしても支払わないという時には、その滞納者の特定の関係者に税金を支払わせることも可能とされています。
しかし、国が行使できる権利をいつまでも無制限に認めていては、納税者の法的な安定が得られないことになってしまいます。
そこで、国が行使できる権利には一定の期間制限が設けられています。
時効と除斥期間は何年で成立する?
(1)原則は5年
時効も除斥期間も原則は5年に設定されています。
例えば、2021年分の所得税を申告しなかった場合、税務署側から何もアクションがなければ、2025年には税金の支払いが免除されることになります。
なお、納め過ぎた税金を返してもらう権利である「還付請求権」にも時効制度が採用されており、その期間は還付ができる日から5年となっています。
(2)悪質な場合は7年
除斥期間は「偽りや不正行為などがあった場合」に限り、期間が7年に延長されます。
書類を改竄して売り上げを低く見せる、使ってもいない経費を計上するなど、意図的に所得を減らすといった、いわゆる脱税行為が該当します。
逃げ切ることはほぼ不可能
無申告であったり、申告漏れをしている場合、前述の年数を迎えて、税金の支払いを免れるというケースはほぼありません。
冒頭でも述べましたが、税務署は税金のプロであり、無申告者等をほとんど把握しています。
数年は何もなかったのに、突然税務調査が入ることも十分にあり得ます。
税金の支払いが遅れれば、ペナルティとして延滞税を課せられますし、支払いが滞れば強制的に財産を差し押さえられる可能性もあります。
そのため、如何なる理由があっても申告や納税を放置することはやめるべきです。
まとめ
税金にも時効がありますが、実際に時効が成立するケースはほとんどありません。
無申告や申告漏れを放置していると、後々になって辛いペナルティを課されてしまうので、早めのうちに解消するべきです。
納める税金が高いのであれば、申告を誤魔化すのではなく、節税対策に力を入れることが正しい選択です。
方法がわからない場合は専門の税理士に相談してください。
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